読了めも。
◆霊感刑事の告白:
特殊な経験から得た知恵知識、そこからある程度確立完成されたのであろうこの方の世界観。それが面白かったかと言われると、私は微妙。感銘も受けず共感も生まれず語られることにさして興味も湧かずさらーっと読了。「ふーん」「へぇ」「はぁ」「こういう方もいるんだな」で終わってしまった。ただ、この特殊な体験は間違いなくこの方にとっては事実・本物なのであり、それ自体は大変興味深かった。読んでも読まなくてもどちらでもよい本。
◆哲学人生問答:
「17歳の特別授業シリーズ」の内の一冊。ひと月ほど前に今更ながら「嫌われる勇気」を読み、哲学・心理学とともに岸見先生に興味が湧いて読んでみたこちら。自分にも思う所ありまくりの刺さること山ほどありで2周した。高校生から寄せられる質問に岸見先生が回答していくのだが、生きていると必ず湧いてくる浮かんでくる思わざるを得ないような葛藤や疑問・想いを、平易な言葉と分かりやすい説明で解されて腑に落ちて、謎に気持ちが落ち着かなくて胸がざわめいているときなんかはこの本を読むとその騒めきが治まり、有難さすら感じた。ぜひ購入して手元に置いておきたい。
しかし気がついた。17歳、若人らしい質問の数々に彼らと同じように共感し感銘を受けているわたしは、すでに37歳だということに。「お前、一体いつまでモラトリアムやってんだ?」というセルフ突っ込みを強めに入れておいた。
◆営繕かるかや怪異譚 その弐:
「芙蓉忌」「関守」「まつとし聞かば」「魂やどりて」「水の声」「まさくに」の短編6本が収録。どれも秀逸。前作より人間の醜い部分がより濃く描かれているように思う。特別に酷いことから、もしかしたら誰もがやりがちなことまで。
1本目はこれまでとは関係性や距離感、趣きがだいぶ違うような印象を受けながら読み進め、、、最後。「えっ」の一言。そのまま続くのかと勘違いし2本目「関守」を続きのつもりで読み始めてしまい混乱した(笑) 魅入られたのか魅入ったのか、、、な人のお話。ネットで感想をさらったら「芙蓉忌」が一番怖いと言っている人が多いように感じた。
個人的には「関守」「まさくに」が好き。「魂やどりて」も面白かったし好きだけれど、主人公の傲慢であまりにも浅慮な発言振る舞いに、これがまぁ~~~苛々させられる。がしかし、それを自分は絶対にやらないとは言い切れないような部分もあり更にモヤモヤを被せられて、無知であることの罪や恥、思慮深さの大切さ等々思う所あり気をつけようと思った。
「まさくに」は最後ほっこり、途中怖すぎ。
それぞれ好みはあるかと思うけれど、どれもはずれないものばかり。事の顛末が紐解かれていく中で、恐怖がさまざまな想い・感情に移り変わっていくところがわたしにとって最高の魅力。「ドーン!」と「ここ!確定!絶対!!」のような強い着地ではなく、ふんわりやわらかく「ひとまず、ここに落ち着けましょうか(陽だまり)」という、あわい着地がとても心地よく心に響く。満足。そしてまた次回作を期待する。笑
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小説を読んでいると、知らない人の知らない人生に触れられて面白い。自分と似たようなことを考えてゆらゆら揺らいでいる人、自分のなかにいくつもある「人生の i f」の内の1つを生きている人がいる。安心したり学びを得たりさまざまに感じ入ること多々。
本を読むことが近頃の一番の安定剤。つぎは何を読もうかな。
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