そんなつもりはなかったが

初めてフィールドワーク(っぽい)体験をしたんじゃない?

そんで、出会っちゃったんじゃない???っていうだけのお話。


どうもこんにちは。おひさしぶりです月子でっす。


それは、6月下旬の週末に、なんと関東の友人(以下Y氏)が遠路はるばる長崎を訪ねてくれたときの事。わずかな時間の逢瀬ながらも、途中なかなかおもろい珍道中が発生したので、その備忘録をば。


Y氏は、過去にも長崎旅行の経験があり、一通りの観光地は見物済みとのこと。では、どこかなにか、行ってみたい見てみたい興味のある場所・事は?と問うたところ、まさかの「平戸、とか...?」とのリクエスト。


ごめんそれは無理よ。遠すぎて。

長崎市内から公共機関で向かうには、時すでに遅しな時刻。ってことで、その希望は却下し(笑)けれどその要望から、普通とは違う感じとか、市内ではない遠いところ系?を所望しているのかな?と思い、市街地からバスで片道1時間半くらいの場所にある島、樺島へ行ってみることに。これなら、Y氏がゆるっと希望したものの実施不可とした軍艦島クルーズ。クルーズはできずとも、軍艦島の姿を、樺島へ向かう車窓から遠くに眺めることができるしね。



ってことで、レッツゴー樺島。

↑↑↑ 見えにくいけど、奥の赤い橋を渡って島に出入りするのだ ↑↑↑


樺島になにがあるわけでもないんですけど。

個人的には結構好きな雰囲気なところなんですよ。


山々に囲まれた人気の薄い漁村。子供ほどの背丈しかない不思議な鳥居。

などなど、ムードがあって。


この日はまた空模様が芳しくなく、特にいい感じの雰囲気が醸し出されていてよかった。霧で霞む山に薄暗い街。山陰に見える鳥居に飛び交う烏たち。ミステリーツアーとして(いつの間にかミステリーツアーになってるし)、100点満点のシチュエーション。


樺島の見所を強いてあげるならば、オオナマズ。加えて、その傍にあるお食事処でボリューム満点の美味しいトルコライスが食べられます。


ちなみにこのオオナマズ。

本当にデカくて結構ギョッとできるので個人的におすすめ。


実際に、Y氏はまあまあのインパクトを喰らった様子で。私ももう何度目かのオオナマズ見物でありながら、やっぱり「うわぁ」と背中をザワつかせられて、楽しかったですね。


オオナマズ、一見の価値ありかと私は思ってます。

解説の看板によれば、学術的にも非常に珍しい存在なんだとか。


ナマズ見物後、トルコライスを食べながら花咲くお喋り。


↑↑↑ アジフライとカニクリームコロッケのトルコライス ↑↑↑


ちょっと余談。

このお喋りの中でも話したのですが、帰郷して2年。このたった2年という時間の中で、東京での十数年がどんどんと現実味を失いつつあり、もはや東京での暮らしすべては本当に現実だったのか?夢だったんじゃないかな?と感じ始めている今日この頃。ものすごい速さと勢いで、過去も想い出も通り越し、あっという間に夢物語になってしまいそう。もの哀しいが、どうすることもできず。んでもって、どんどんと東京の色も形も薄れていくことが、なんだかとても不可思議な感覚で他人事のようにその様子を観察しておる現在です。


話を戻そう。


食事を終えて清算する際に、何気なく、本当に何気なく、この後どうしましょうという軽い気持ちで「そこのオオナマズの他に、樺島の面白い場所とか何かありますか?」と尋ねてみましたの。


そうしたら、思いがけないお話が聞けて、私は静かに興奮しましたの。

そのお話とは、少しだけ背筋が冷えるような、土着風習チックなことでして。


なんでも、樺島にはまだまだ井戸がたくさん残っていて、その井戸のそばには必ずお地蔵様がいるのだそう。そして、そのお地蔵様たちが道の両壁一面に何十体もズラリと並び祀られ「大師様」と呼ばれている場所がある、と。


そんな私の大好物ジャンルみたいな回答が返ってくるとは思っておらず、不意打ちだったこともあり、謎の動揺が走りました。笑


俄然行ってみたい私。

場所は、お店からずーっと坂と山道を登り続けた山の頂上にあるらしい。

お話してくれたお店のマダムとマスターも「ぜひ行ってみて」「厳かで壮観だよ」と。しかし裏腹に、今日はお天気も悪いし、足場もよくないだろうし、猪なんかも出たりするから、あんまり、、、どうだろう、、、何より、それで何かあって樺島なんてもう嫌と思われたら悲しいからと、控えめなご様子。


とりあえず、行き方と道のりだけ聞いて、その場は御礼を述べて退店。


どうしたもんか。

もちろん行きました。


マスター曰く、10分くらい登ったところ。すぐそこ!とのことだったけれど。

地元民の言う「すぐそこ」ほど信用ならんことは無いんだわ。笑


↑↑↑ ジブリの世界観 ↑↑↑


↑↑↑ これがどんどん深くなっていく。足場も悪くなっていく ↑↑↑



↑↑↑ 山中、謎に散乱する立派なキノコたち。ジェイド氏いたら大喜びだろうなw ↑↑↑



実際、登れども登れども一向にそれらしき場所に到り着かないばかりか、次第に深くなっていく山道。吹き荒れる強風。これ本当に大丈夫か???と流石に不安になり、途中で諦めて下山してしまった。。。


無念。


わたし一人だったなら行くところまで行くのだけれども、今回は友人(しかも他県の)も一緒であるし、万が一があっては大変だし、下手なことはできぬなと思い、来た道を逆戻り。


引き返していると、なんと畑仕事をしていた先ほどの食堂のマスターと遭遇。途中で引き返してきたと言うと「なんで!そこまで行ったならあともうちょっとだよ!すぐ先よ!」と言われ。ここまで来たならやったろうじゃないのと奮起し、再チャレンジ。


再びの山道を歩きながら、急に思い出したお地蔵様に纏わる怖い話を口にしてしまったがために、無用な緊張感を高めながら(笑)、山道を登りなおすこと暫く。遂に!道が開けたところに出た。がしかし、肝心のお地蔵様はおらず。ただ廃屋のような家があるのみ。


どういうことだろうと、2人して困惑。

ひとしきり周囲を見回すなどしたけれど、それらしきものは見当たらず。


なんだこのミステリー。


「これ、完全に寒村に迷い込んだ系ジャパニーズホラーの導入シチュエーションなんだがw」「この後、村民に囚われて生贄とかにされる系のw」なーんて冗談を言い合いながら、「我々はまだそのお地蔵様に会う段階に無いってことかねw」という所に気持ちを着地させ、狐につままれたような感触の中、再び下山。


そしてまたしても再会したマスターに、辿り着けなかった旨を伝えると、「はあ?!なんで!」と頭抱えて笑われ落胆された。笑


いや、我々もまったく同じ気持ちなんだが...っていう。


冗談交じりに「私たちはまだお会い出来る立場になかったみたいです」と言うと、すぐさま「いや、あなた方が会うのを拒否したんでしょう」と返されて。


てっきり、なに分けわからんこと言ってるんだいと一蹴されると思っていたから、その返しにもドキッとしたり。


よく、●●神社は呼ばれた人しか行けないとか、ご縁の在る無しとか言われたりするけど、そういうオカルトチック(?)な考え方とか感覚、価値観が無いと返ってこない言葉だと思うので。


ちょっと感動しちゃったよ。


流石に3度目の登頂をする気にはなれず、今回はこれにて大師様との対面は断念。またの機会に。次は私一人でになるけど、行ってみようと思う。リベンジマッチ。


さて。

樺島は市内から外れの島なだけあって、公共交通機関はバスが1時間に1本のみ。なので、バスの時間まで島の散策と、山間に見える神社へ行ってみることに。


島の中を歩いていると、家の軒先にしめ縄を飾っている家を数軒見かけ、とても不思議に思ったので、何か意味があるのかと道を歩いていたおばあさんに尋ねたのだが。「お正月に飾るやつやね」と、なんら普通の「私たちもそれは解るw」という回答で謎は解けず。笑


その後、少しだけ調べてみると、カクレキリシタンの風習の名残らしい記事に行きついて、なるほど納得です。樺島に向かう途中の入江エリアにも、カクレキリシタンが潜伏していたらしい場所(有名ではない)があるんですよね。なので、樺島がそうであってもなんら不思議ではないなと思ったり。


因みに、このしめ縄の話。

先日訪れた出雲にも話の続きがうっすらとありました。

地域のイロイロって、本当に興味深い。ゾクゾクする。


お喋りしながらの散策途中、気をつけて周囲を見ていると、確かに井戸とその近くに佇むお地蔵さんを見かけました。樺島のお地蔵さんの特徴なのか、お顔が白塗りなんですよね。顔の造形もどこか中華っぽくて。そう、あれ。中華街で見る被るお面。人造人間19号的なやつ。あれに似ていて、これまたなんだか不思議でした。漁村だし、媽祖様的な感じ?謎。


↑↑↑ 井戸とお地蔵様を遠巻きに ↑↑↑


到着した山間の神社は、熊野神社でした。

島民の皆さんは、よくこちらへお参りなさるそう。



鳥居の先に続く階段もこれまた雰囲気があって、もうたまらないです。私は。

(なんかもうずっと一人でワクワクドキドキしてて草。ごめんね友よ)


無人の神社ながら、人の手がちゃんと入っているんだなと感じられる神社でした。おみくじも置いてあったので、もちろん引いて。この神社は場所のせいか虫やら蚊やらがとにかく凄かったため、おみくじ開封はバス停のベンチに座ってゆっくりやりましょうと、早々に引き上げようとした、その時。


まず、わたし。

本殿前の苔むした階段で、ツルっと滑り転げ落ち。


そんな私に驚いて「大丈夫?!」と駆け寄ってこようとした友人も、おんなじ場所でおんなじように、ツルっと滑り転げ落ち。


まるでコピーしたかのように。リプレイ再生でもしたんか?という感じで、すってんころりん。


二人して擦り傷と巨大な青あざを作り、洋服を派手に汚すという珍事。なんてこったい。これで御神籤に「けが注意」だなんて書かれていたら、オチまで完璧☆役満じゃねーの、とwww


もはや面白くなってまいりました~!って気持ちだったですけど、結局そういう文言は特にありませんで。残念。


以上、そんな樺島の旅。


いろいろと巻き込むような形になってしまった友人には申し訳ないが、「月子さんならではの旅で面白かったよ」と言ってくれた言葉を、素直にそのまま受け取ることにして、此度のアドベンチャーを共に楽しんでくれて良かったと思いましょう。そうしましょう。


すまん。そして、ありがとう。


ところで。

今日のこのイロイロって。

遭遇する人に話しかけて土地の事を尋ねたり、地元の人所縁の地に行ってみるなどして、その土地の事を知っていく時間って。


もしやこれがフィールドワークってやつなんじゃない???

なにこれめちゃくちゃ楽しいんだけどっていう。


あれ?わたし、コレなんじゃない???と思っちゃって。

なんだか、ライフワークと出会った気がしました。


どうぞ、長崎へお越しの際にお声がけくだされば、ノーマルからは少し外れた面白アドベンチャーの旅へお連れしますよ。


嘘です。


おわり。