有事の際は。
ジリリリリリリリリリ...
非常ベルが鳴り響いても、誰も意に介さない特に変わらぬいつもの風景。
8月8日 日曜日、土日に鑑定活動のために身を置いている商店街の一角から火が出ました。ガスバーナーが火を噴いたそうです。最終的には小火騒ぎに収まったようですけど、消防警察が集結するやら煙はモクモクやらで一時騒然といった様子でした。それに、この商店街というのは小さなお店が所狭しと並ぶ古びた建物、施設なもんですから、このようなところで大きな火の手が上がった日には、ひとたまりもないだろうと震えました。この度は大事に至らずよかったです。
わたしはあの場所で非常ベルの音を聞いたのは初めてでしたから、一瞬ギョッとしました。けれども、冒頭の通り、鳴り始めて暫くは誰一人として気にしていない様子。というわけで、よくある誤作動かな?とわたしもスルーしていましたら、どれくらい経ってからでしょうか。なり始めて数分、5分、10分は経っていたでしょうか。少しずつ周囲の空気がザワザワと波立ち始めたような気がして外の様子をのぞいてみると、煙が。いつも威勢よく「らっしゃーい!」と声を張り上げている魚屋さんの呼び込みが止んだと思ったら、その魚屋のお兄さんが「これ、マジのやつじゃん!」と消火器を抱えて煙の中へ走っていきました。
「あれっこれヤバいやつ???え?逃げる?どうする??どうしよう」と思いながらも逃げないわたし。他の人々も同様で「何事か?」と店から顔を出しはするものの、煙の方を眺め様子をうかがっているだけ。あんまり誰も慌てていない。逃げるほどの事でもないのかな?そうなんだろうなと思う一方で、これが世にいう正常性バイアスってやつなのでは?こうやって人は逃げ遅れるのでは??という考えが頭に過り、とりあえず逃走準備だけでもしておこうと、努めて冷静に広げたカードに札、本と資料たちを鞄に詰め込み電気を落としてジッと状況をうかがっていました。
(※正常性バイアス:認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。Wikipediaより)
煙の様子が、量が、みるみるうちに拡大していき「これはいよいよ...」と思っていますと、火を出した店のすぐ近くの飲食店で食事中だったであろうお客さんなのか従業員なのか数人が、ラーメンつけめんフォーとにかくなんらかの美味しいものが入っている丼を手にした姿でモクモクと上がる煙の中から現れ、どう行動すべきか決めあぐね立ち尽くすわたしの前を通り過ぎ、皆さん煙とは反対方向へ悠然と歩いていきます。その人たちとすれ違いざま「うわ、めっちゃ美味そう」「あれ絶対美味いよな」と話しながら、煙なんてどこ吹く風で数人がそのまま煙の方へ向かい中へ入っていく。「持ち出すものそれなの?!」とか「この状況でするコメントがそれなの?!ていうか、わざわざ煙の中に入っていくんか?!」とか、いろいろ突っ込みどころ満載だわ奇妙不可思議シュールな光景だわで、まるでギャグ漫画の中みたいでした。
驚いたのは「え~なになに~?」「なんだろうね~?火事かな~?」などと、火事なのかも?とわかっていながら煙の中へ向かっていく人の多い事。明らかにおかしい状況なのが分かっているんだから、引き返しなさいよ(苦笑)歩きスマホをしている人にいたっては、煙どころか目の前すら見てやしない。カメラを向けてSNSへ投稿していると思しき人も当然いました。余裕がありますねぇ、ほんとうに。
騒動開始1時間ほどで「大事ない」というお達しが出始めたので、そのあとは普段通りに。
こんな程度で済んだからよかったものの、自分を含めて、みんな日常に慣れすぎているなと思いました。わたしの向かいのお店の方は「どうせまたいつもの非常ベルの故障だろうと思っていた。まさか本当に火事だったとは」と話しておりました。忘れがちだけれど、やっぱり危険は何時も隣り合わせ。これからは、「なんだか様子がおかしいぞ?」と感じた時点で「逃げた方がいいかしら?」なんて他人と示し合わせたりなどせず、速やかに身を守る行動をとろうと心に決めました。
以上、特にオチなどないただの日常の記録でした。
おわり。
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